家をつくる時に考えること

いつのためにつくるのか?

新築にしろ、リノベーションにしろ、家というのは人生の最も大きな買い物であり、決断であるのは間違いありません。

 

家を買おう、建てよう、リフォームしよう!と思ったけれど、住宅展示場に行っても違いがよくわからないし、リノベーションのサイトを見ても・・・結局何を手がかりに決めれば良いの???

という相談をされることがしばしばあります。

 

最近特に感じるのは一生住むつもりはないんだけど・・と言う人が増えたと言うことです。

私自身に置き換えて見ても、一生の住処としての家づくりというのはどうも違和感があります。

人生にはいくつかのステージがあり、結婚するかもしれないし、離婚するかもしれない。

また、子供が1人かもしれないし、3人かもしれない、産まれないかもしれない。

転職するかもしれないし、失業するかもしれない、起業するかもしれない・・・

そもそも日本から離れるかもしれない。

など、私たちの親世代に比べて生き方のバリエーションが増えている気がします。

その時に35年のローンを組むことの異常さも非常に際立ってきます。

 

結局色々考えると何を手掛かりに決めてゆけばよいのか分からない・・という感覚は非常に理解できます。

そして、その時に私がいつも言うことは、「いつのためにつくるの?」です。

今の気分で決めること

結局のところ、「今」の気分で決める事が一番重要だと思います。

今考えうる将来、未来での計画をする以外に方法は無いのです。

 

今欲しいと思うものを買う、でも5年後にはいらなくなっている。

よくある事です。

数年後に売るかもしれないから、無難にしたいと言われることもよくあります。

・・・どうなんでしょうか。

折角大きなお金を掛けてリノベーションするのに、無難に無難に万人受けを狙ってゆくと結局は建売住宅や新築マンションを購入するのとなんらかわりはありません。

 

最近不動産サイトを見ていると、「リノベーション済み物件」ばかりが目につき辟易します。

なんというか、全く魅力を感じないんです。

おそらくそう感じている人も多いのではないでしょうか。

こんなリノベーション?ならやらずにもう少し安く売って欲しいと。

リノベーション済み物件

弊社もこういう仕事をしていると、リノベーションして欲しいというご依頼を多くいただきます。

個人の方は基本的にはお会いする様にはしておりますが、目一杯の場合はお断りせざるを得なく申し訳なく思っています。

他に不動産再販業者の方からのご依頼もたくさんあります。

前述の「リノベーション済み物件」を作って売っている方々です。

 

「リノベーション済み物件」はそこに住む方がいない状態でのリノベーションになります。

リノベーションとリフォームの違いでも書きましたが、元々リノベーションってすごく個人的な欲求の産物であり、個人的な趣味に偏ったものだったのだと思います。

それが単なるコピーライティングとしてのリノベーションになり万人が大体良いと思うものになっていった結果、まるで面白くない、よくある物件になっていったのでしょう。

 

友人の家に行った時に本棚を見るのはすごく面白いと思います。

その人が長い間セレクションをし続けてきた中で生き残ってきた本が並んでいるわけで、その人の個性や趣味趣向が現れており、その人自身の一端をうかがい知る事ができます。

また、レコードやCDラックなども一緒で、本当に好きな物だけが並んでいるのです。

 

リノベーションも本棚と一緒で、折角やるんだったら好きな物に囲まれて暮らしたいと思うのは普通の事です。

しかし、今の「リノベーション済み物件」にはそう言った、怨念というか執念というか個人的な好みが全くないため魅力を感じないのだと思います。

友人の家に行った時にCDが「Greatest Hits」だけだったらガッカリしますよね。

本棚にあるのは「ソフィの世界」と「ノルウェーの森」と「半沢直樹」だけだったらガッカリしますよね。

「リノベーション済み物件」はそんな感覚です。

 

まとめ

リノベーションを検討されている方のほとんどは、不動産サイトで物件を探した事があると思います。

目にとまるのは、ありきたりなリノベーション済み物件ではなく、建てた人や改装した人たちの執念を感じる物件ではないでしょうか。私は間違いなくそうです。

私がリノベーションして住んでいた家も家族構成の変化に伴い売却しましたが、過去の履歴で一度も売れた事がない金額で売れました。

今は賃貸に住んでいますが、オーナーの強い思いが感じられて特段オシャレとかなわけではありませんが、非常に気に入っています。

 

結局売る時の事や貸す時の事を考え始めると、そのヨコシマな気持ちがかえってつまらない物を作ることに繋がってしまうかもしれません。

ヨコシマな気持ちばかりのリノベーション市場では、すでに個人の思いの詰まった物件は非常に希少になってしまっています。

 

価値観も変わるでしょうし、世の中のトレンドも変わるでしょう。

その時のことを考えても仕方ないので、今「気分」なことをするのが一番だと思います。

本もレコードもCDも家も今の「気分」で手に入れるのが大切です。