コンペと相見積り

リノベーションを依頼するとき

リノベーションを依頼する際にどのように依頼先を選定しているのでしょう。

まずはネットで検索したリノベーション会社が最も多い選択肢かと思います。

そのほかに自宅のそばにショールームを構えているリフォーム屋さんや工務店なんかもあります。

また、リノベーションを専門にした雑誌やフリーペーパーなどで紹介されている会社や

不動産屋さんからの紹介なんかもあるかもしれません。

 

おそらくはその中の何社かに実際に話を聞きにいったり、場合によってはセミナーなどを開催しているところに足を運んだりして、そこから数社に絞った上で自分たちの希望を伝えて相見積りを依頼するというパターンが多いかと思います。

それはコンペと呼ばれるもの

実はそれは相見積りではないのです。

コンペと呼ばれるものに近い形態なのかもしれません。

こういった依頼の仕方をされる方はお仕事をバリバリやられている方に多い印象があります。

というのも、私は建設業は非常に曖昧な仕事の進み方のする業界の一つであると考えております。

 

他の業界のほとんどは、会社で新たな設備機器を導入しようと考えた場合、競合するメーカー数社に提案をしてもらうことと思います。

競合するメーカーはどれも多少の違いはあっても基本的には同じ性能、目的を持った設備になりますから、価格とのバランスも踏まえてどれにしようかなと決断するでしょう。

例えば会社でコピーの複合機を入れ替えようと考えて場合、SHARPもKONIKA MINOLTAもCANONもほとんど同じ性能を持っています。若干の機能の違いやランニングコスト、メンテナンス性、価格を総合的に考え決めると思います。

ほとんどの業界が完成品やサービスがかなり近似しているため、どの選択をしても基本的には大差はないと思われます。当然メーカー担当者が良かった悪かったなどはありますが。

そう言った折衝に慣れている方が、こういう依頼のされ方をしていると感じています。

 

しかしリノベーションの場合は同じ希望を言っても会社によって全く違うものを提出してくることになります。

そこで同時に見積りを提示したとしても、違うものを作るのにかかる費用を比べているということになります。

極端な話ですが軽自動車を提案し100万円という見積りを持ってきた会社と、ベンツを提案し1000万円という見積りを持ってきた会社を比べても、よくわからないと似ています。

 

要するにそれはデザインコンペというものを開催しているのです。

相見積りとはルールを統一するということ

要するに前提条件を統一していない状態では建設業(特にリノベーション)の場合は相見積りにならないと考えています。

上記の新車を買う場合のことで考えると、このメーカーのこの車種のこのグレード!オプションはこれとこれとこれ!納期はいつ!と確定させた上でいくつかのディーラーに相見積りをとるというのが、建設業で言う所の相見積りになります。

当然車のディーラーではそんなやり方はしないと思いますが、建設業ではこれを相見積りと呼んでいます。

 

そのためにすべきことは、ルールを統一させるということです。

レイアウトはこうで、壁の仕上げはこれで、フローリングはこれ、キッチンサイズや仕様、造作家具の作り方などのルールを統一しなければなりません。これを設計と呼んでいます。

 

そうなのです。相見積りは設計図面がないとできないのです!絶対!

同じ設計図で同じ期間で見積りをしてどこが一番安いかというのを競うのが相見積りです。

 

ちなみに以前競合見積りでも書きましたが、工事に慣れている年間何十店舗も出店するようなアパレルメーカーなどは相見積りを取らない会社も多くありますが、相見積りをする場合は2番目に安かった業者に決めるという人が多いように感じます。

そこには色々理由はありますが、長くなるのでまたいつか書きます。

まとめ

別にコンペ+見積りが嫌なわけではありません。

私たちも参加することが多くありますし、それはそれで一つのやり方です。

デザインプランと金額が同時に出てくるというのはきっと楽しい体験だと思います。

 

しかし当然会社によって選んでいる素材も仕上げ方法も工法も違いますから、工事金額が適正かどうかの判断はつきません。

コンペであるということは、仕事になるかどうかが決定していないわけですから細かい図面までは書けません。

要するに詳細な収まりなどまでは考えられていないということです。価格のブレが出ても対応できるバッファ部分があるということです。

そういうあやふやなルールのもとでの金額の比較は相見積りとしては意味がありません。

 

特にリノベーションの場合はデザインプランを確定した上で、同一条件のもと相見積りをとるというのが最も適していると思います。設計者やデザイナーを入れたことでのコストアップを相見積りで相殺するという考え方も考慮に入れてみてください。