airbnb退屈日記

オンライン化する旅

先日、お休みをいただいてアメリカ旅行に行かしていただきました。旅行というより、友人の結婚式に参加することがミッションでした。招待は、半年ほど前から頂いていたのですが、何事にもギリギリまで取りかからない性分なので例のごとく出発10日前に急に覚醒して、慌てはじめる始末。

 

見事に、パスポートは期限が切れているは、サンフランシスコのモーテルはどこも予約がいっぱいだったりと、てんてこ舞い。

結婚式の準備で大変だろうと、あまり友人に心配もかけたくなかったので、出たとこ勝負で行こうかな、、、なんて思っていたところ「そうだ! airbnbがあるな!!」と閃いたのです。(遅・・・。)

 

きっと、用意周到な人なら初めから選択肢の中に入っていて、比較検討していたことでしょう。ぼく場合は、結果的にその選択肢しかもう残されていなかったのは言わずものがな。

そうは言っても、前から気になってはいたし、いつかは利用してみたいな、なんて思ってもいたので願ったり叶ったり。早速調べてみると、会場から徒歩5分のサンフランシスコの中心地に空きがあり、トントン拍子に宿を確保。

時差が16時間あるにもかかわらず、ホストのメッセージのレスポンスが早く、親切な方でPaypalで早々に支払い、あっという間に無計画な状態から随分しっかりしたスケジュールが組めました。

 

普通のホテルやゲストハウスなどなら煩雑なやりとりがあったと思いますが、こうした手続きの簡易さも一つの魅力かもしれません。たらい回しにされたり、レスポンスにタイムラグがあったりは、不安になったり、ストレスになったりするものですが、そう言ったストレスがないのは非常にありがたかったです。また、航空券もskyscannerでサックリ予約し、paypal決済。

このアプリは大手航空会社の余り路線を格安旅行代理店が仕入れ、格安で販売するというビジネスモデルで基本、乗り継ぎ便で時間が掛かるので低価格です。早朝便や深夜の発着が主ですが、諦めずに候補を探していくと昼出発などの穴場もあります。

ちなみにANAもJALもありましたが、敢えてのKrean Air。理由は、韓国に行ってみたかったことと、機内食が美味しいという噂と、サービスもルフトハンザやエミレーツ並みに高いと聞いていたからです。

結論から言うと、大変満足でした。その理由のほとんどが、CAが超綺麗だったから意外にありません。笑 

 

その後、ESTA(アメリカ入国の申請)をとり忘れていて、乗り継ぎの韓国の空港で冷汗をかきながらオンラインで申請・決済を済ませ、韓国出発1時間前にようやくギリギリ申請が通りました。ピンチのスリルも過ぎ去れば、なかなか良いものです。振り返ってみれば、すべてがオンラインであったことに気づかされます。すべてが手持ちのタブレットで完結していました。そして、移動しながらの申請と決済。ペーパーレス・キャッシュレス社会恐るべし。

airbnbというドラマ

 空港に着くなり、simカード10日分を購入。これがないと、どこへ行ってもwifi探し隊になってしまいます。そして、いちいちパスワード聞いたりして、なかなか後で厄介になってきますので、そこは先行投資です。

 

空港を出るなり、ブルーシャトルなる乗り合いワゴン。airbnbの住所を見せれば、グーグルマップに連動したアプリですぐに時間と金額を提示してくれます。明瞭決済。

着いて一時間後には、airbnbの滞在先の玄関前にいました。これは、カリフォルニア (アップルやグーグルの本拠地)だから成りたったと思います。(同じことをインドで想定すると、もう大変。空港でタクシードライバー数十人に囲まれて、挙句の果てに目的地の周りをグルグル回ってメーターを稼いで、最終的に知り合いのホテルに降ろされます。もう自分の宿に着いた時には街の喧騒と暑さでクタクタです。)

 

滞在先は、いかにもフルハウスに出てきそうなサンフランシスコの代表的な町家?といった感じ。まだ、オープンしたてということもあって、綺麗でとても清潔でした。

また、3階たての2階部分が宿泊者用で他階の賃貸で借りている人も非常にオープンで色々と世話を焼いてくれます。まるで、「男はつらいよ」の寅さんの実家のよう。

下町の助け合い精神みたいなものをビンビンと感じました。内装工事は、メキシコ移民のカルロスという気さくなおじさんが、内装工事すべてとクリーニングまでを常駐して行っているそう。「俺が全部やったんだぜ!」と誇らしげに話していたのが印象的でした。

 

基本的に、ゲストハウスやホテルと違って派手なロビーや旅人同士の交流を促す装置みたいなものはありません。もちろん、ホストは親切でオープンな人でしたが、手取り足取りガイドをかって出るようなこともありません。放任主義というか、良い意味でこちらに干渉してくることはないんです。

オンラインで支払いも済んでいるので、特別チェックインをすることもありませんでした。これは、とっても不思議な感覚で、その一つの通過儀礼がないことで自分が旅行者であるという感覚があまりありませんでした。本当、連続TVドラマの何話目かに急に迷い込んだようなデジャブ(既視感)があったように感じます。部屋に入っても、あまり違和感なく前から知っていたような不思議な感覚でした。

ドラマの登場人物

同じタイミングで知り合ったゲストの人たちもまた、結婚式やアメリカの建築士試験の試験などみんな似たような明確な目的があり短期というよりは2週間くらいの中期旅行者でした。

そしてどこか旅慣れているというか、テンションが高いわけでもなく、そこに暮しているような雰囲気だった覚えがあります。

 

きっとAirbnb自体の狙いもまさにそこにあり、”生活感覚”を大事にしているよう思います。旅行をしているというより、生活をしているという感覚が前景化してきます。

 

旅慣れた方なら共感していただけると思いますが、旅行者というのは、その街のよそ行きのドレッシーな恰好より、カジュアルな普段着の方が気になるのです。

授業参観日に、担任の先生の本当の姿はありません。学校の日常もありません。きっと、いじめっ子もいじめをしないでしょう。

そんなどこかフェスティバルをみて、三者三様に真実ではないけど、事実であるという了承の下に作られる共犯関係なのかもしれません。

それを踏まえた上での授業参観であり、観光名所なのですが、だんだんそうしたフェーズに人々が飽きてきているというのが実感ではないでしょうか。

その背景にあるのは、ネット社会になったことで、真実と嘘の境界線が曖昧になってきたこと、情報を能動的に取得できることが重なり合ってきたことが考えられます。

みんな自分の皮膚感覚で感じて、物差しで判断したいという傾向が強まっています。

クライマックス

今回のケースだけをふまえていうのであれば、グループで中・長期旅行を考えている人及び単身旅行者であれば明確な目的もしくは、その街に友達や知り合いがいる人にはこれほどそのスタイルに適応するものはないと思います。

逆に言うと、それ以外であれば従来のホテルやゲストハウスを利用した方が、情報量やホスピタリティーといった面で満足いくように感じました。

きっとバカンスのような”非日常感覚”を期待している人にとってはとっても”退屈な”休暇になってしまうと思います。そこの『求める感覚の違い』をきちんと意識する必要があります。

 

ホストやその街によっても大きく趣は異なるのかもしれませんが、その底流に流れているAirbnbのスローガンがローカリティ(地元感覚)にあるので大きく外れるということはないように思います。今度は、国内のどこかの街で使ってみたいと思いました。

 

最後にAirbnbとは、何かと言われれば”街の行間”と答えるでしょう。そこ心は、豪奢なホテルと違い、歩いていてそこが宿だとは誰も気づきません。いつの間にか自分も街のストーリー中に組み込まれています。その中心は、地元のレストランだったり、道行く犬の散歩の人だったりします。そんなローカルの生活の隙間に、スゥ~と自分の身をゆだねてみる、そんな疑似体験こそがAirbnbが提案したいことだと感じました。