某百貨店外商部プロデューストイレリフォーム

某百貨店外商部プロデュースのトイレリフォームって知ってます?

ゴールデンウィーク中にテレビを見ていましたら、午前中の何かの番組の後にこんなテレビショッピング的な番組をやっていました。

要するにリフォームのテレビショッピングです。すごい!初めて見ました。

トイレをTOTOのピュアレストQRという物に交換し、さらに、壁紙と床のクッションフロアの貼り替えを工事期間1日で全てやります!お値段はなんと

248,000円(税込)!

そして今ならなんとトイレお掃除シートをもれなくプレゼント!というやつです。

実際に工事をするのは誰?

まず大前提として某百貨店が工事をやる訳ではないだろうと思います。

「購入後1〜2週間で専門の工事業者より連絡いたします。」と言っているので、それは間違いないと思います。

おそらくは弊社の様な小さな工務店が下請けに入っているのだと思いますが、まわりでそういった話しを聞いた事が無いためもしかすると大手の工事業者などが噛んでいる可能性もあります。

百貨店→大手工事業者→工務店→職人

という構図なのでしょうか。

いずれにしても、百貨店ブランドの強さを感じます。

 

TVコマーシャルを出すほどという事はかなりの売上げを上げているに違いありません。

その辺のカラクリを少しだけ考えてみたいと思います。

材料の拾い出し

まずトイレ・・・TOTO/ピュアレストQR

タンクレストイレは便座込みの価格ですが、タンク付トイレ(別名組み合わせトイレ)は基本的に便座は別売りになりますのでお気をつけ下さい。

なお、この百貨店プロデュース商品はウォシュレット仕様ですので・・・TOTO/TCF8PM22

この他に必要なのは壁紙とクッションフロアですが、このあたりの詳細情報は不明ですし当然トイレの大きさにもよるだろうと思いますので、現場調査の時点で増減が発生するのかもしれません。

ここではごく一般的な材料とサイズで考えてみます。

一般的な広さのトイレでしたら15mもあれば天井と壁で足りるはずです。

量産クロス・・・シンコール/SLP-100としてみます。量産クロスは何千種類とありますが、価格は同じです。

床のクッションフロアは少し弾力性のある木目等がプリントされたシートです。

これも柄によって金額は変わらない事の方が多い(というか金額が変わらない物の中で選ぶ)ため一般的なもので

クッションフロア・・・サンゲツ/HM-1017あたりでみてみます。2mあれば十分です。

一応このパッケージでうたっている材料は以上です。

私としては、巾木はどうなるのだろうとか照明は?スイッチ、コンセントプレートは?窓枠の塗装なども気になります。

が!一旦考えない様にします。

 

材料代のまとめ ※全て税込み

便器・・33,626円

便座・・32,054円

壁紙・・2,235円

クッションフロア・・1,700円

 

合計・・69,615円です!

作業費の拾い出し

この工事を分解してゆくと、いくつかの業種にわかれます。

・古い便器を外し、床壁天井を綺麗にした後に新しい便器を取付ける人・・・水道屋さん

・壁紙を剥がし、貼る人・・・クロス屋さん

・床のクッションフロアを剥がし、貼る人・・・床仕上げ屋さん

・剥がした壁紙や、外した便器を処分する人・・・産廃屋さん

この小さな空間に4業種も必要なのです。

 

しかし、多能工って知ってますか?

要するに上記の3つ、水道、クロス、床を全て1人の職人がやってしまうという考え方です。

いろんな事を出来る職人を多能工と呼んでいます。

リフォーム屋さんに多い様です。

弊社にはおりません。色んな理由がありますが、少し悪口めいてしまうのでここではやめておきます。

 

ちなみに何故このパッケージに照明交換が入っていないのかというと、照明器具を取付ける際に天井に丸いコンセントの様な物があるかと思いますが、それは居室のみでトイレ等は照明器具が電線に直結されている事がほとんどです。

そうすると電気工事が必要になり、それほど難しい工事ではないのですが電気工事士という有資格者がやらなければならなため金額が跳ね上がります。

この「多能工で出来る」という所がこのパッケージの良い所なのです。

まとめ

材料代・・・69,615円

作業費・・・多能工1名 30,000円

産廃処分費・・・産廃処分場に持ち込み 10,000円

副資材・・・クロス糊や床糊、便器交換をするための部材等 8000円

末端業者の経費や利益・・・15,000円

 

おそらくは便器や材料関係は百貨店側からの支給品であろうと思います。

末端の工務店がもらえる金額は6〜7万円くらいといったところでしょうか。

そう考えると某百貨店の下に大手の施工業者が居て、その下に小さな工務店がいるという構造が一番しっくりきます。

 

弊社の場合は多能工を使っていませんので、水道屋さんとクロス、床屋さんの2人の職人が登場しますので、この金額ではできません。9〜10万くらいはかかると思います。

そうすると、弊社でこの工事をやった場合はお客様に材料をネットで購入して頂ければ、総額で16〜17万円程度といった感じになるかと思います。

末端の小さな工務店よりは高いですが、大手の施工業者よりは安いくらいなんだろうと思います。

 

ただ、あくまでもそこは入口でトイレのリフォーム工事だけで終わる人は少ないのではないでしょうか。

最終的には、ちょっと廊下のクロスも張り替えたいとか、外壁の塗装をしたいとか、照明も交換したいとか・・・

いろんな事が出てくるという所が、末端の工務店の旨味に繋がっているのではないかと思っています。

 

実は末端の工務店は5万円くらいで工事を請けている。

ただ、そのかわり追加で発生した工事に関しては百貨店を通さず直接請け負って良いという契約であれば、その工務店も旨味がありますし、お客さんも百貨店が認めている工務店に工事を直接依頼できて安心だし安い!

という余計なお世話なシナリオが一番ほっこりすると勝手に考えました。

 

信頼と安心の百貨店ブランドに10万円程度をかけている事になりますが、それを高いと見るか安いと見るかは人それぞれの価値観です。

弊社は残念ながらどの百貨店外商部様からも全くお声掛け頂いておりません。。。多能工がいないからでしょうか。。

 

私は先日引越しのため引越し業者比較見積りサイトから3社の引越し業者の方に会いました。

一番安かったところは聞いた事もない業者さんでした。

私が依頼したのは2番目に安かった(2番目に高かった)テレビCMをやっている引越し業者です。

 

私がこの業界にいなければ、百貨店外商部プロデュースなら安心!と言って依頼しているかもしれません。