フローリングの遮音規定

リノベーションで最も大きな金額を占める工事の一つにフローリングがあります。

部屋の印象を大きく左右する部分でもありますし、そもそものきっかけがフローリングの貼り替えをしたい!という所から始まる方も多いかもしれません。

 

ナラやタモ、メープル、チェリー、パインなど様々な樹種、幅があり、また無垢材や合板などもあり中々決めるのは楽しい作業ではあります。

ただ、マンションの場合は少し注意が必要です。

それが今回のテーマである「遮音規定」になります。

 

マンションの場合は上階の歩行音などが聞こえるかどうかの規準を設けている管理組合が多く、それをL値という床の衝撃音に対する遮音性能の数値で決定しています。

もっとも多い規準がLL-45というものです。たまに、LL-40という規準を設定している管理組合もあります。

これはマンションの購入時の書類に必ずもらえる「管理規約」という書類の束に書いてあります。

「管理規約」とは、そのマンションのルールブックの様なもので細々と色んな規定が書かれていますが、その中に床の遮音規定が明記されているはずです。

※まれに規定の無いマンションもあります。

 

これだけ多くのフローリングが存在していますし、リノベーションも普及していますから上記の基準値をクリアしている商品は数多く存在しています。

 

が!無垢材のフローリングには存在していません!

ここが注意が必要なのです。

 

しかし、世の中で多くあるリノベーション事例等を見ると無垢材に見えるフローリングが貼られていますよね!?

これが非常に厄介で大きくコストを左右する所なのですが、無垢材を使用する際には必ずフローリングをはる「下地」で遮音規定をクリアしているのです。

 

イメージしずらいかもしれませんが、

・コンクリートの床の上に少し(100㎜程度)の空間を作っている場合

・フローリングは直接コンクリートの床(スラブ)に貼っている場合

の2通りがあります。

見分け方は、足で床をコンコンと叩いてみて軽い音がする場合は下に空間があります。

よく分からない場合は玄関の土間とフローリングとのさかいにある上がり框が70㎜程度あれば下に空間がある可能性が高いです。

下に空間がある場合は床のコンクリートの上に「置き床」と呼ばれるゴムと木で作られた束を立ててその上に下地の合板を2重に貼っている可能性があります。

この「置き床」でL値の規準をクリアできますので、無垢材などフローリングの選定幅が大きく増えます。

ただ、この「置き床」の野郎は高いんです。。フローリングの金額が倍になると考えてもらって大丈夫なくらいです。

フローリングが材と工賃で7000円だとします。70平米で49万円になりますが、置き床をするとなるとまぁ倍くらいにはなっちゃいます。。デカいですよね。。

 

逆に空間が無さそうな場合はフローリング自体で遮音規準をクリアしているという事になります。

そうなるとフローリングの選定幅自体は狭まってしまいます。

 

そもそも何故床下に空間を作ったり作らなかったりしているのか?ですが、床下に空間を作った方がいろいろと都合は良いのです。がその分天井高を確保しなければならなく、建物としての高さやコストも掛かってきてしまうのだろうと考えられます。

 

リノベーションで最もコストを左右する一つにこの床工事がある事を忘れないで下さい。

中古マンションの場合は購入時点で遮音規定はクリアされているはずです。

それが一体何によってクリアしているのかを注意深く探る必要があります。

現状が置き床だったとしてもフローリングで基準値をクリアしている場合もありますので、非常に厄介なのです。

また、そもそもがカーペットの場合は遮音規定の適用外ですので、カーペット→フローリングにしたいという方は結構お金かかっちゃいます。。

 

なんだかこの見えない所にお金が掛かっちゃうというシリーズは本当に嫌なものですふが、絶対に基準値を無視はしないでください!

管理規約通りに施工しても、クレームなどは来るものです。

いざ、クレームが来た際に証明書類の提出を求められ、実は・・・なんて事になると非常に面倒ですので、特にお子さんの小さい方は本当に本当に注意してください。

この辺の規準を重要視するかどうかは設計者によっても変わってきます。

やはり子供のいる設計者は、「かえるの歌」が子供に与える影響と恐怖を良くわかっています。