見積書

基本デザインが固まるといよいよ見積書の登場です。

デザイナーは予算内に収まる様にデザインをしてゆきますが、それはあくまでも

経験則によるものですから、実際にはズレる事が多いです。

多いというか100%ズレます。予算を必ず上回ります。

 

私たち施工会社は実際に工事する際にかかってくる金額を

各職人たちから見積りをもらい、それを積算して見積書を作成します。

デザイナーの経験則による見積りと、施工会社が出す正式な見積りの違いは

目に見えない金額を見込んでいるかどうかになります。

過去にこのブログで書いてきた業種に関しては、金額のズレは大きくは有りませんが

例えば家具を作った際は、家具の製作費と現場の取付費までは誰でも分かるのですが

工場から誰がどのように運び、誰が現場まで搬入するのかという所までは中々目がいきません。

実際には運送屋さんのトラックをチャーターし、現場までは荷揚げ屋を手配し搬入します。

そこでも少なくない金額が動く事になります。

リノベーション工事では通常2〜3回程度はトラックをチャーターします。

別な業種でも当然目に見えない金額はかかります。

現場まで来る交通費やガソリン代、駐車場代や細かな材料、工具、消耗品など意外に多くの経費が掛かっています。

現場を進行する中で発生する残材の処分なども大きな金額です。

さらには私たちもボランティアではありませんから利益を出しています。

そういった金額を合わせると想定していた予算を大きく上回る事になってしまいます・・。

 

ただ、それは通常の出来事でいつもの流れです。

ここから予算に収める為に「減額」という作業が出てきます。

VE案といわれるデザインを大幅に変更せずに施工的な視点から減額できる可能性を探ってゆく事が最初にやる事ですが、それでも収まらない場合は「何かを無くす」という決断をする必要があります。

作ろうと思っていたダイニングテーブルを既製品に代える等です。

よく言われるのが、平面図を逆さまにして落ちてくる物は後から作ればよいという事です。

大きなリノベーション工事中でなければ大変な工事に金額をさき、後から作ってポンと置くだけの家具を後回しにして減額するというやり方です。

 

まぁかなりキツい決断をしなければならないため、非常に心が締め付けられる思いがします。

私の自宅をリノベーションした際にも当然「減額」をしました。

感想としては「思っていた以上にキツかった」です。

「あれもやりたいし、これも作りたい、でもお金はない。」

非常に当然の事ですが、お金がなければやれないんです。

「値切る」事を当然と思っているかたもおりますが、弊社はそもそも無意味な駆引きをするのは時間の無駄という考えでやっていますので、わざわざ「値引シロ」を作って見積りをし、パフォーマンスとしての「値引き」はやっていません。

もちろん僅かばかりの「協力」は惜しみませんが。

決して弊社は安くは有りませんが、恥ずかしい金額で出しているつもりもありませんので

これ以上の値引きがあれば受けられないという金額で出しています。

しかし、安さを売りにしている施工会社は山ほど存在していますから、そういった施工会社に依頼すればきっと安くできると思います。

 

が、

 

質、金額、時間はトレードオフです。

どこかを押せばどこかが出てきます。全部を押す事はできません。ゴメンナサイ。

でもそれが現実なのです。

 

書いていて私は営業には向いていないとしみじみ思います。。。