塗装屋

解体し、壁が立ち、枠、下地関係の仕込み取付が終わるといよいよ仕上げ工事に入ります。

仕上げは大きく分けて2つあり、塗装とクロスです。

今回は塗装屋。

 

石膏ボードは3×6尺(910㎜×1820㎜)の為、大きな壁となると1枚では貼れずツギハギで貼る事になります。そのつなぎ目をパテ処理し塗るのですが、

 

1.つなぎ目に寒冷紗というメッシュテープを貼る

 パテを食いつきやすくするため

2.GLと呼ばれる1度目のパテ

 粒子が粗いため2度目のパテの食いつきが良くなる

 痩せにくいため隙間の充填に使用する

3.仕上げパテという2度目のパテ

 2で埋めたザラザラの表面を滑らかにする

 粒子が細かいため綺麗な仕上りになる

4.パテを紙ヤスリでこする

 耳と呼ばれるパテの端を紙ヤスリで研ぎ、段差をなくす

5.入り隅の処理

 ボンドコークという充填材を全ての入り隅に入れ、指で撫で隙間をなくす

6.塗る

 

これが一般的な塗装の工程です。

まぁー塗るまでが長いこと長いこと。

1〜5までの工程を「塗り前」と呼び、この塗り前で八割方の仕上りが決まってしまうと言われています。

2〜4の工程は結構有名ですので知っている方も多いと思いますが、私がこの業界に入って初めて塗装屋を見た時に一番感動したのは5の工程です。

石膏ボードで出来た入り隅はどうしてもほんの少しの隙間が空いています。

紙は通らない程の隙間でも、塗料という液体は通ってしまいます。

5の工程を行わないと、塗った後に入り隅に黒い隙間のラインが出てしまいます。

それを防ぐ為にボンドコークというペーストを、ケーキのホイップクリームをフワッとやるチューブのような物に入れて充填していきます。

それを職人が指で撫でると、よく目にする塗装壁の入り隅になります。

あの微妙に丸い入り隅は職人の指の痕なのです。

 

リノベーションの場合は減額の為に

「塗装は自分たちでやります!」というお施主様が結構いらっしゃいます。

私もその考えは賛成ですが、どうしても1〜5の工程は自分で上手にやるのは難しいため、そこまでは塗装屋に任せるということになってしまいます。

そうなると上記の通り塗り前が八割りですから、八割り方は仕事が終わってしまったことになり、思った程の減額にならないというのが現実です。

その上、道具や材料を揃え、忙しい仕事の合間を縫って塗装をし、友達に手伝ってもらい、お礼にご飯をご馳走し・・・・なんてやっていると正直減額にはなりません。

それでも、自分の家を自分で作っている実感があり、そしてきっと楽しいです。(苦笑)

要は「思い出づくり」です。

家族や友人とそういう時間を共有できるチャンスは中々ありませんから、チャレンジしてみるのも良いと思います。

 

80㎡程度のマンションのリノベーションの場合は大体4〜5日間の塗装の工期を取りますが、施主施工の場合は7日間くらいに設定しています。

私自信も経験しましたが、2日目の午後位からは後悔しかありませんでした・・・。

天井とかマジほんともう嫌だ!ってなりました。

塗装屋さんにお願いすればよかった・・・と。

私はもう2度とやりません!キリッ

 

そんな施主施工になりがちな、かわいそうな塗装屋さんはなぜだか白い服を着ている職人が多いです。そしてその服が汚れている職人ほど腕が悪い・・らしいです。

頭に白いタオルを巻き、お揃いの白いコスチュームに身を包み白い壁を塗っているメルヘン軍団の仕事を奪わないでやってください!