既製品とカスタムメイド

建設業界には多くの建材メーカーが存在します。

ユニットバス、キッチン、建具、フローリング、巾木・・・。

建材メーカーの扱う商品としての建材は多くの部分を工場で生産し

可能な限り現場での作業を少なくする努力をしています。

工場で生産するという事は、マニュアル化または機械化する事で品質は安定しますし、工場でラインを作るというコストを考えると大量に生産する必要があるため、大量生産による低価格化も実現できます。

こういった建材メーカーの存在は家づくりをする方にとって心強い味方であると同時に憎い敵になる場合もあります。

 

家を建てよう、マンションをリノベーションしようと考えた時に一番最初にまず何をするでしょうか。

多くの人は近所にある住宅展示場に行ったり、マンションのモデルルームに行ったり、googleで「リノベーション」と検索してみたり・・・ではないでしょうか。

そこで見た物に満足できる人はよいですが、満足できず何となく違和感を感じる人もいるかと思います。

そこにある違和感の原因がタイトルの「既製品とカスタムメイド」による物ではないかと感じています。

 

住宅展示場、モデルルーム、googleのSEO対策などはとにかくお金が掛かります。

我々の様な中小零細企業にできる事ではありません。

そういった大手企業は大勢を相手に商売をしています。それだけのコストを掛けてでも成り立つビジネスモデルという事です。

ただ、大勢をターゲットにしているという事は品質に対するリスクを負うということでもあります。だれか一人だけが好む物を作るのではなく、大勢に安定的に受け入れられる無難な物を作りましょうという事です。そのために品質が安定し低価格な「既製品」を多く取り入れ、ハウスメーカーなどはほとんど家自体が工業製品の様な物になっている様です。

実際ハウスメーカーに関わった事のある職人の話しを聞くと、

「職人じゃなくても、誰でも組み立てできるよ」なんて言っていたりします。

組み立てって・・・家は組み立てる時代か・・・。

そうやってほとんどを工業製品化する事で品質の安定と低価格化(工場設立や住宅展示場、大勢の営業マン、開発費などを含めると最終的な販売価格は低価格ではなく、あくまでも建設費としてはと言う意味で)を実現しています。

おそらくその方向はさらに強めていくのだろうと・・。

 

逆に我々の様な小さい施工会社はデザイナーと共に施主一人の為の家をカスタムメイドする仕事です。風呂やキッチンなどもメーカー品ではなく木工所で職人が手作りをしたり、左官職人がモルタルを塗ったりタイルを貼ったり・・・。

それにより「ナンバーワンではないオンリーワン!キリッ」を実現していると考えています。言葉にするとヒドく恥ずかしいですが。。。

既製品はどうしても量産する為の方法やメンテナンス性、コストに重きを置いている感が否めず、奇妙な装飾が入っていたりするのはその為です。

とは言え、我々が既製品を一切使わないかと言えばそうではなく、水栓やトイレ(主に水廻り)だったり、照明器具だったり、ドアハンドルなんかもコストを考えると既製品を選ばざるを得ません。

ただ、それらを作っているメーカーもごくごく小規模にやっているところや、海外製も含めるとかなり多くの選択肢はあります。

 

上記の様な「既製品とカスタムメイド」の違いが積み重なる事で前述の「違和感」を生み出しているのかもしれません。

多くの(ちゃんとした)デザイナーはハウスメーカーの様にたった数種類の中から選んでくださいというやり方はしませんし、逆に何でもかんでも作品づくりと言ってデザインを押し売りする事もありません。

既製品の良い所、悪い所、カスタムメイドの良い所、悪い所を理解しお施主様に合った最適解を用意できると思います。