競合見積り

競合見積り、相見積り、入札なんていう言い方をしますが、要するに

同じ設計図面で数社の施工会社が見積りを出し、一番安い業者が工事をする事を言います。

 

メリットとしては、工事金額が安くなる(と言われている)、適正価格の把握が出来る、

騙されて高い金額で買わされている訳じゃないという安心感が得られる。といった所です。

ただ、メリットだけが強調されデメリットに関するアナウンスがあまりにも少ない様に感じます。

工事金額の市場価格は日々変動しており、仕事が多い時には当然金額は上がり、少ない時には下がります。元々定価という考え方が無い業界ですから、パワーバランスが金額を支配しているのは当然の事といえます。

つまり、繁忙期に競合見積りをした場合は安くなるどころか逆に高くなるという事が往々にしてあります。

 

競合見積りと逆の考え方として一社特命と言う考え方もあります。

これはプロジェクトのスタート時から一社の施工会社が決定しているという考え方です。

デメリットとしては競合見積りした場合より金額が上がる(と言われている)。

メリットとしては競合見積りのデメリットの逆で繁忙期でも価格が安定している事と、設計段階で生じる懸念事項(施工方法や金額)を事前に把握できる為、予算との大幅なブレが少ないということです。

 

我々、施工会社側の意見としては閑散期の競合見積りは頑張って金額を下げようとする場合もありますが、繁忙期の競合見積りは落札できない金額をだそう(取りたくない)とします。

とれるかどうか分からない仕事よりも、特命で決まっている仕事を優先すると言う事です。

逆に特命仕事の場合はスケジュールが決められるため、よい職人、工場を押える事が出来、下職たちへの価格交渉もしやすくなります。

そして大抵の場合、付合いのあるデザイン事務所と一緒に仕事をするため、今後も一緒に仕事をしていく事を考えると変な金額(ボッタクリと疑われる様な)は出しません。

つまり競合見積りをしなくても、高い買い物をさせられる事はない!、その方がクオリティも含めよい買い物ができます!

あくまで施工会社側の意見ですが・・・。

 

実際工事に慣れた施主(年間何十店舗も出店する様なアパレルメーカーなど)は実は特命でやっている所が多くあります。その方がメリットが多いと知っているから。

 

ただ、競合見積りの方が安くなる場合もあるのも事実ですので、

私が考えるもっとも良い方法は、

閑散期に設計者と親しい施工会社2〜3社で競合見積りをする事だと思います。

親しい施工会社であれば、その設計者の図面に書ききれない癖をたくさん知っていますので工事後に大きなトラブルに発展する事はまずありません。

 

設計図面があれば誰が作っても同じと言う事は決してありませんので、自らインターネットなどで施工会社をこっそり探して図面を持ち込み見積りをしてもらうというのは避けた方が得策です。

まともな施工会社なら、そういう方法をとるお施主様を警戒しますので見積りは出しません。出したとしても、取るつもりの無い見積りになりますので高いです。

逆に安ければ、そうとう仕事が無いという事になります。なぜ仕事が無いのかは・・・。

そういう場合は必ずデザイナーに相談してください。デザイナーを通して話しをする事で施工会社の反応はまた変わってきます。

新たな繋がりはどの施工会社も求めていますから。

 

いずれにしても、車や家電の様な工業製品ではありませんので競合見積りが「価格.com」の役割を果たす訳ではないので、競合見積りが一概にお得とは言い切れない事をご理解ください。

その上でデザイナーと相談し決める事が良いと思います。